私が所属する「砂糖・基礎原料本部」では、主に国内の砂糖や糖化製品、そして海外から輸入する「調製品」という商品を取り扱っています。この中で、みなさんにとってはおそらく馴染みがないけれど国内の食品メーカーにとって決して欠かすことのできないものが、私の扱っている「調製品」でしょう。
調製品とは、基礎原料をブレンドした商品を指します。その原料とは、砂糖、小麦粉、乳製品、油脂など多種にわたります。例えば、小麦粉と砂糖をブレンドすれば、製菓・製パンの原料として使用されます。乳製品と砂糖をブレンドすれば、アイスクリームや飲料の原料として使用されます。調製品は双日食料の中でも今後取り扱い拡大を期待されている分野であり、原料コストの優位性、工場での生産効率など顧客の立場に立って提案するのが私の役割です。
プライベートでスーパーに足を運ぶとき、真っ先に足を運ぶのはお菓子売場やパン売場。店頭に並ぶ商品を手に取り、パッケージの裏に記載された「原材料名」の一覧を確認します。そこに記載された原材料を見ながら、「どんな原料を混ぜたら新たな提案ができるだろうか…」と、毎回考えを巡らせます。これは、ある種の「職業病」かもしれませんね(笑)。
さらに、調製品はお菓子やパンだけでなく、私たちが日々口にするほぼ全ての食品に使われています。例えば、チルドパックのドリンク類を製造している飲料メーカーや、醤油やめんつゆなどを製造している調味料メーカーも、それぞれ調製品を利用して自社製品を生み出しています。そのため、自宅で毎朝食べているパンや料理に使う調味料も、気づけば自社の取引先ばかり。これだけ身近な商品の原料を自社で扱っているのだということが、私にとって密かな自慢です。
日常にあふれる「食」に対して常にアンテナを張り、原料相場、市場動向を予測し、今後何が必要なのか、何が顧客の為になるのかを考える。その結果、顧客ニーズがあると思ったら、独自の新しいブレンド原料を生み出し製品化することもあります。この商売で大切なのは、原料をブレンドする設備が必要だということ。以前、あるブレンドの調製品が需要増加のチャンスがあると予測し、取引先の海外サプライヤーに新たな調製品の製造を持ちかけました。勿論設備投資が必要であり、簡単に承諾は得られませんでした。「市場動向の予測のなかで、必ずこの調製品は伸びます。今その供給体制を整えるべきです。絶対に売れるという確信があります!」と必死に説得をしました。その熱意が伝わり、「吉規さんがそこまで言うのなら」と、サプライヤーは約1億円の設備投資を行い、生産ラインを設置することになりました。その後毎月工場に足を運び、時には1日中会議室で、または工場現場で議論を交わしながら生産ラインを作りあげました。
私の狙いは的中し、多くの日本の顧客から発注依頼が舞い込み、最近では生産ラインの増設の検討をするまでの販売量になってきています。
先を読む力がなければ、この仕事は務まらないし、面白くありません。今後もさまざまな提案をして、この商売でのシェアを伸ばしていきたいと考えています。いつか砂糖・原料の分野において、アジアNo.1になる。それが私の目標です。